倉敷市玉島は、江戸時代初期(1600年頃)まで瀬戸内海に浮かぶ小さな島々だった地域です。その後、長年にわたる干拓事業によって陸地が形成されました。こうした歴史的な地形の成り立ちは、現代の土地リスクと深く関係しています。
「外見上は同じように見える土地でも、地歴によってリスクが大きく異なる」ということです。玉島エリアで土地を購入する際は、ハザードマップの確認が特に重要です。
2020年8月より、不動産取引時にハザードマップの説明が宅地建物取引業法上の重要事項として義務化されました。不動産会社から必ず説明を受けてください。また、倉敷市は2023年3月にハザードマップを更新しています。
倉敷市では、次の5種類のハザードマップを公開しています。玉島地区は瀬戸内海に近いため、特に複数のリスクが重なる点に注意が必要です。
洪水・土砂災害
河川氾濫・堤防決壊時の浸水範囲と深さを表示。計画規模と想定最大規模の2種類あり。
津波
南海トラフ巨大地震発生時の浸水深・液状化危険度を表示。岡山県では令和8年3月に津波災害警戒区域が指定されました。
高潮
台風・低気圧による海面上昇で海水が浸水した場合を想定。沿岸エリアは要注意。
内水
用水路・下水などの排水能力を超えた大雨で雨水が道路等にあふれる「内水氾濫」を想定。
ため池
大雨・地震によるため池の堤防決壊時の氾濫を想定。
ハザードマップには「計画規模」と「想定最大規模」の2種類があります。計画規模は数十〜百年に一度の降雨を想定し、想定最大規模はさらに極端な豪雨を対象とします。土地購入時は必ず「想定最大規模」も確認してください。
玉島のほとんどは江戸時代以降の干拓によって造成された低平地です。この地形的特性から、以下の複合的なリスクが存在します。
| リスクの種類 | 玉島地区の特徴 | リスク度 |
|---|---|---|
| 洪水・浸水 | 干拓による低地が多く、河川氾濫時に 浸水しやすいエリアが存在。 高梁川水系の影響も受ける。 | 要確認 |
| 高潮 | 瀬戸内海に近接しているため、 台風による高潮の影響を 受けやすい沿岸部がある。 | 要確認 |
| 津波(南海トラフ) | 南海トラフ巨大地震が発生した場合、 津波の浸水リスクあり。 液状化危険度も合わせて確認が必要。 | 注意 |
| 液状化 | 干拓地・埋立地は地下水位が高く、 砂地盤も多いため 液状化リスクが比較的高い傾向がある。 | 注意 |
| 内水氾濫 | 大雨時に排水が間に合わず道路冠水が 発生しうる区域が一部ある。 | 注意 |
| 土砂災害 | 平野部が多く、山地に近い一部エリアで 土砂災害警戒区域の 指定がある場合がある。 | 場所による |
「干拓地」は自然堆積した土地ではなく、地盤が軟弱な傾向があります。地震時の液状化や水害リスクは、同じ玉島内でも場所によって大きく異なります。土地の古地図・旧地名・地歴を確認することが賢明です。国土地理院の「重ねるハザードマップ」や「治水地形分類図」も参考になります。
- 洪水ハザードマップ(想定最大規模)を確認し、浸水深0cm・もしくは0.5m未満の土地を優先する。ただし、想定最大規模は1000年に1度程度の大雨が降った場合の最悪の場合を想定しています。玉島では浸水想定区域に入っていないエリアが少ないのが現実です。災害リスクを知ったうえで火災保険加入や避難経路・場所の確認が必要になってきます。
- 高潮・津波ハザードマップも必ず重ね合わせて確認する(単一マップだけでは不十分)
- 液状化危険度分布図(岡山県公表)で地震時の液状化リスクを確認する
- 古地図・地名の調査で土地の歴史的背景を把握する(「新田」「島」「浜」などの地名は要注意)
- 地盤調査報告書の有無を確認し、地盤改良の実施状況もチェックする
- 周辺の排水状況・道路の高低差を現地で確認する(周囲より低い土地は特に注意)
- 避難所・避難経路を事前に確認し、自宅から徒歩でたどれるか確認しておく
- 火災保険・地震保険・水災補償の加入内容を確認・検討する
STEP 1|倉敷市公式サイトでマップを入手
倉敷市防災危機管理室のページから、「玉島地区」の洪水・土砂災害ハザードマップ(計画規模・想定最大規模)をダウンロード。倉敷防災ポータルからも確認できます。
STEP 2|「重ねるハザードマップ」で複数リスクを確認
国土交通省の「重ねるハザードマップ」(disaportal.gsi.go.jp)で洪水・津波・高潮・土砂災害を一括表示。気になる住所を入力して複数の災害リスクを重ね合わせてチェックしましょう。
STEP 3|浸水深の「色」を正しく読む
浸水深の区分は「0.5m未満(床下浸水)」「0.5〜3m(床上浸水〜1階浸水)」「3〜5m(2階浸水)」などで色分けされています。購入検討地の色を確認してください。
STEP 4|土砂災害警戒区域・特別警戒区域を確認
「おかやま全県統合型GIS」で土砂災害警戒区域・特別警戒区域を確認。特別警戒区域内では建築制限があるため、必ず事前確認が必要です。
ハザードマップに色がついているからといって、その土地が「買ってはいけない」というわけではありません。大切なのはリスクを正しく把握し、適切な対策を講じることです。
(洪水・津波・高潮・内水・ため池)
(新たな浸水想定区域指定を反映)
- 建築面での対策:浸水リスクのあるエリアでは、1階床を高くする・基礎を高くするなどの設計上の工夫が有効です。
- 保険での備え:火災保険に水災補償を付加し、地震保険も合わせて加入することを検討しましょう。
- 地域コミュニティとの連携:自主防災組織への参加や、近隣の避難情報ネットワークへの登録も重要です。

















